療育から学んだ私にも大切なこと

人との関係や気持ちが楽になるヒントがいっぱい

怒りの表現は出しておさめる

療育の現場でお世話になった作業療法士のN先生は、療育現場での経験が豊富で、子どもの発達について、いつも的確にアドバイスしてくれました。

3歳女の子Aちゃん(仮)は、言葉の表出がなく表情も乏しいお子さんでした。いつも心配なほど静かなAちゃんでしたが、嫌な事、不快な事はあるときだけは、泣いて怒って、なかなか気持ちが治まらないことが度々ありました。

そのことに対するN先生のアドバイスは、「やだ、やだ、やだ」と私達大人が言葉に出しながら、座っているAちゃんの足首を持って床にドンドンと叩きつける(もちろん力を加減して)というものでした。要するに、子どもが思いが通らない時によく行う地団駄踏む動作です。

それを聞いたときには、少し突飛な感じがして、嫌がるのでは?効果あるの?と正直思いました。しかし、実際にAちゃんが怒って泣いて半分パニックになっている時にやってみると、Aちゃんの気持ちがすうっと治まったのでした。

それでわかったのは、Aちゃんは気持ちをどう表出していいかわからず、気持ちが治まらなかったのだということ。背中を摩ったり、言葉をかけたり、じっと見守っていたのでは、Aちゃんの感情を出す手助けにはならなかったということ。床に足をドンドンしたこと、怒りを体で表現したことで、はじめて気持ちが治まったのだいうことです。いやだいやだと大人が言うことで、共感してもらえた感覚もあったのかもしれません。その後も度々、この方法で気持ちが治まることがあり、この頃から、少しずつ少しずつAちゃんに表情が出はじめ、ふっと笑顔になることも多くなり、私達職員のそばにいることが増えてきました。

大人ほど言葉を操れない子どもは感情をからだで表現する。地団駄踏みも表現のひとつ。思春期の子ども部屋の壁に穴があいていることも、また必然もしれません。 

さて、そこで思うのは、大人はどれだけ自分の負の感情を表に出せているだろうかということです。私自身も、思っても仕方ないことは、そう自分に言い聞かせて胸に収めることが良いことと思ってきました。でも、表に出すことはおろか、感じることすらしてあげなかった感情は、結局は昇華されずにくすぶって、他の愚痴に転嫁されたり、体調に現れたりしました。

大人だって大人だからこそ、自分の感情は大切に扱いたい。必要を感じた時は、溜めずに、負の感情も表現していった方が良いのだと気づきました。私のやっている方法については、別の機会にまた紹介したいと思います^ ^