始点と終点①
今回は「始点と終点」の話から、子どもの発達を理解すると、小さな子が散らかしてもイライラせずにいられるヒントがある、という話です。
療育には普段見なれない様々な教材があります。それぞれの教材(おもちゃ)に、発達を促すための目的があるのですが、そのひとつに「終わりがあるという感覚を理解する」がありました
何かを持ち、またはつまんで手を一方向に進めてみたらある時点で止まった。その繰り返しで「始まりがあり、終わりがあるということを理解する」という感覚が運動(手を動かす)から入ることをねらったものです
下の教材のようなレール式のから、輪投げのポールにドーナツ型のものを落とすおもちゃ、良く見る型はめも、ぴたりとはまって終わるので、終点を感覚から理解する教材ということです
(画像お借りしました http://www3.kcn.ne.jp/~takanami/maruyosi.htm )
この終点をまずは運動感覚で理解することが、子どもの発達を内から外へ広げていく上で、とても重要となります。発達心理の先生によると”一つだった結び目が二つになる”と表現していました。自分から出た行為(手を伸ばす、触る)等の行動に反応(終点)があることを感じ取ることで、そとの世界、他者や周りの物へ関心(まだ感覚レベル)が広がっていく、ということです
前置きが長くなってしまいましたが、1歳半くらいから物を投げる、散らかす、ばらまくようになりますよね、、、これが「部屋が散らかっている、片付かない」とおうちの人をイライラさせます。私もそうでした。疲れている時は、終わりのない片付け地獄に感じた記憶があります。
この散らかし行為、小さなうちは、終点を感じて五感、運動機能を発達させている行為、と言えると思います
ぽ~んと、定めることもなく投げたブロックが床に着地する。何回も繰り返すと周りにブロックが広がるという世界が視覚的にも入ります。だから楽しいし、繰り返す
発達の必要があっての行動は、本当にしつこいくらい繰り返します。
決して、散らかしてやろうとか、乱暴であるとか、いうことではなく。
そんなときの対処法は、
何か入れ物を差し出して「い~れ~て」と楽し気に声をかけるとポンっと入れてくれます。そしてお互いにニッコリ。(散かし屋から片付け屋に変身する瞬間です)
またひとつおもちゃを渡して、入れ物を指さすとまたポン。ニッコリ。
その後はお母さんも一緒に、ポンニッコリをやると、瞬く間に片付きます
ただ、そのままその入れ物を置いておいたら、またザ~っと全部出すか、またひとつづつポイポイ投げるますよね。そんな光景を見たら、そこが今楽しい発達のポイントなんだ、ということです。その時期の子どもにとっては大事なお仕事なのかもしれません
そうは言っても大人の事情もあります。お母さんの片付ける苦労との折衷案としては、細かいものでしたら、数を減らすこと。買ったときに30個入っていたブロックなら、この段階でしたら10個でもいいかもしれません。 今日は散らかしてほしくないという日は、細かいおもちゃが仕舞ってしまうのもいいと思います。
他に、この成長段階のお子さんが好きな遊びを一つ。
何かを「どうぞ」と言って、大人の手から子どもの手にうつし、次に「ちょうだい」と両手を出してみる。お子さんがものを差し出してくれたら「ありがとう」ニッコリ受け取る。そしてまた「どうぞ」と繰り返す。という単純に思える遊びですが、とっても楽しそうな表情を見せてくれます。
布を持たせて、端を大人が引っ張るという、小さな綱引きも楽しんでくれます
どれも他者の存在、他者とのやりとりが、運動感覚、視覚、聴覚から入ってきて楽しい遊びとなっているのだと思います。
芽生え始めた感覚が刺激を受けて、きらきらと輝いているのを感じます
難しい話のようですが、きっと昔から、赤ちゃんや幼児の喜ぶ顔が見たくて先人があやし遊んでいたことが、子どもの発達を促すことになっているのかもしれませんね